建設業許可のキーパーソン!経営業務の管理責任者(経管)の要件と証明方法を徹底解説

この記事を読んでわかること
- 経営業務の管理責任者とはどんな役割を持つ人なのかがわかる
- 経営業務の管理責任者になるための4つの要件がわかる
- 常勤性の証明方法と、必要な書類がわかる
- 建設業の経営経験5年以上を証明する方法と、必要な書類がわかる
- 自社に適任者がいない場合の対策がわかる
目次
- 🏢 経営業務の管理責任者(経管)とは?
- 経営のプロフェッショナルであること
- 許可取得後も維持が必要な重要なポジション
- ✅ 経営業務の管理責任者に求められる4つの要件
- 要件1:法人では役員、個人事業主では本人であること
- 要件2:常勤性があること
- 要件3:欠格要件に該当しないこと
- 要件4:建設業の経営経験が5年以上あること
- 📄 経営業務の管理責任者の要件を証明する方法
- 常勤性を証明するには?
- 建設業の経営経験を証明するには?
- ❓ 適任者がいない場合はどうすればいい?
- 📝 まとめ|経管の要件を正確に把握してスムーズな許可申請を!
- 確認クイズ(経営業務管理責任者)
経営業務の管理責任者(経管)とは?
経営業務の管理責任者とは、建設業の経営を適切に遂行する能力がある、いわば**「経営のプロフェッショナル」**として建設業法で定められたポジションです。略して「経管(けいかん)」とも呼ばれます。
建設業の許可を取得する際には、この経管を配置することが必須要件の一つとなっています。さらに重要なのは、許可を取得して終わりではなく、許可を維持し続けるためにも経管の継続配置が必要であるという点です。
建設業許可には、経営業務の管理責任者以外に他6つの要件があります。
これらの要件について全体像を把握したい方は、
まずはこちらの記事もご覧ください。
要件・手続き・ポイントを初心者向けに網羅しております。ご覧ください👇

経営業務の管理責任者に求められる4つの要件
経管になるためには、次の4つの要件をすべて満たさなければなりません。
- 法人では役員(取締役など)、個人事業主では本人であること
- 常勤性があること
- 欠格要件に該当しないこと
- 建設業の経営経験が5年以上あること
これらの要件は、許可を受ける会社の設立年数が浅い場合や、従業員数が少ない場合、一人親方などの場合に特に重要になります。 以下を一つずつ詳しく見ていきましょう。
要件1:法人では役員(取締役など)、個人事業主では本人であること
経管は、誰かに雇われている労働者では認められません。
- 法人の場合:役員(取締役など)
- 個人事業主の場合:本人
として、会社の経営者としての立場でなければならないのです。
要件2:常勤性があること
「常勤」とは、単に会社に籍を置いているだけでなく、毎日、所定の時間中、主たる営業所で職務に専念していることを意味します。
常勤性は、主に以下の2点から判断されます。
- 主たる営業所に通勤できる範囲に住んでいること:片道2時間以内が目安とされています。
- 自社で毎日所定の時間、職務に従事していること:これは、後述する社会保険の加入状況などで客観的に証明する必要があります。
要件3:欠格要件に該当しないこと
経管はもちろんのこと、会社の全役員や支店長など、経営陣全員が以下の欠格要件に該当してはいけません。(一定の期間5年間など)
欠格要件チェックリスト |
自己破産したことがあるか |
過去に建設業の許可を取り消されたことはあるか |
過去に営業停止処分を受けたことはあるか |
過去に禁固刑、懲役刑、罰金刑を受けたことはあるか |
未成年者か |
暴力団と関係があるか |
精神的な障害があると診断されたことはあるか |
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要件4:建設業の経営経験が5年以上あること
経管になるには、建設業の経営経験が5年以上あることが必須です。
単に経営経験があるだけでなく、原則「建設業」の経営経験でなければ認められません。製造業や販売業の経営経験では要件を満たせないため注意が必要です。
経営業務の管理責任者の要件を証明する方法
経管の要件は、書類で客観的に証明する必要があります。
常勤性を証明するには?
常勤性は、社会保険への加入状況で証明するのが一般的です。
- 法人の場合:経管となる方の健康保険証の写しを提出します。申請する会社の名称が健康保険証で確認できる必要があります。
- 個人事業主の場合:健康保険証の提出に加え、直近の確定申告書の写しも提出が必要です。
【注意点】
- 個人事業主は国民健康保険でも認められますが、法人の場合は原則として国民健康保険は認められません。健康保険(全国健康保険協会)などの加入が必要です。
- 個人事業主が、他の会社名が印字された健康保険証を提出することは、常勤性を否定するため認められません。
建設業の経営経験を証明するには?
5年以上の経営経験は、「経営経験が5年以上あること」と「建設業を営んでいたこと」の2つの側面から証明します。
1. 経営経験が5年以上あることの証明
経営経験の証明方法 | 必要書類 |
法人での経営経験 | 登記簿謄本:取締役の就任期間が5年以上あることを確認します。複数の会社での役員経験を合算して5年以上でも問題ありません。 |
個人事業主での経営経験 | 確定申告書:事業所得があることが確認できる、最低5期分の確定申告書の写しを提出します。 |
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法人での経験と個人事業主での経験を合算して5年以上でも要件を満たすことができます。
2. 建設業を営んでいたことの証明
過去に在籍していた会社が「建設業許可会社」だったか「建設業許可無会社」だったかによって、必要な書類が異なります。
過去の会社 | 必要書類(抜粋) |
建設業許可会社 | 許可書(写し)、申請書の控えなど |
建設業許可無会社 | 請負契約書、注文書・請書、工事の請求書 |
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【注意点】
- 許可無会社での経験を証明する場合、請負工事に関する書類でなければ認められません。
- **請負契約ではない「人工出し(にんくだし)」**といった業務は、建設業許可の経営経験として認められないため注意が必要です。
特に、他社での経営経験を証明する場合、5年分の古い書類を借りることはハードルが高くなる傾向にあります。自社での経験を証明する場合も、これらの工事に関する書類は捨てずに保管しておくことが重要です。
適任者がいない場合はどうすればいい?
自社内に経管の要件を満たす人がいない場合は、許可取得はできません。 しかし、解決策が全くないわけではありません。
例えば、経管の要件を満たす人を新しく役員として迎えるという方法があります。 ただし、単に名前を貸すだけでは認められず、実際に常勤で経営に携わることが求められます。
このほかにも、経営業務の管理責任者を補佐した経験の人材を経営管理責任者と認められたり、建設業法改正によって「経験のある従業員」を補佐する者として設けることにより、建設業経営5年以上の要件を緩和する制度などが新設されております。これを利用できるかどうかは、会社の状況や要件によって変わるため、専門家への相談が不可欠です。
まとめ|経管の要件を正確に把握してスムーズな許可申請を!
建設業許可における経営業務の管理責任者は、許可取得の可否を左右する重要な要件です。
経管には、「役員・個人事業主の本人性」「常勤性」「欠格要件非該当」「5年以上の建設業経営経験」の4つの要件が求められ、それぞれを客観的な書類で証明する必要があります。
特に、経営経験の証明には、過去の登記簿謄本や確定申告書、請負契約書など、多くの書類が必要です。
要件の確認や必要な証明書類の準備に不安がある方は、専門家にご相談いただくことをお勧めします。 専門家と連携することで、スムーズな許可申請を目指しましょう。
確認クイズ(経営業務管理責任者)
経営業務の管理責任者クイズ
建設業の許可に必須の「経営業務の管理責任者」
その要件をクイズでチェックしてみましょう!
【第1問】
経営業務の管理責任者(経管)は、建設業許可の取得後も継続して配置する必要がありますか?
- はい、許可を維持するためにも継続的な配置が必要です。
- いいえ、許可取得時だけで十分です。
- 許可更新時だけで配置すれば問題ありません。
【第2問】
経営業務の管理責任者の要件「常勤性」を証明する一般的な方法として、最も適切なものは何ですか?
- 経管となる方の運転免許証の写しを提出する。
- 経管となる方の健康保険証の写しを提出する。
- 経管となる方の住民票を提出する。
【第3問】
建設業の経営経験を証明する際に、個人事業主の場合に提出が必要な書類は何ですか?
- 直近5期分の確定申告書の写し。
- 個人の源泉徴収票。
- 個人事業の開業届出書。