コンクリートブロック工事の許可はどれ?とび・土工・コンクリート? 石? タイル・れんが・ブロック工事? を徹底解説!

建設業許可の取得を検討されている事業主様、特にコンクリートブロックを使う工事を多く手掛けている方は、どの業種で許可を取ればいいのか迷われることが多いのではないでしょうか?「とび・土工・コンクリート工事」なのか、「石工事」なのか、それとも「タイル・れんが・ブロック工事」なのか。これらはそれぞれ定義が似ており、非常に分かりにくいのが現状です。
本記事では、国土交通省の「建設業許可事務ガイドライン」に基づき、これら3つの業種の違いと判断基準を詳しく解説します。この記事を読めば、ご自身の事業内容に合った適切な許可業種を判断できるようになります。
最後に確認クイズを3問用意しおりますのでお試しください。
参考資料:国土交通省(H29年11月10日改正)業種区分、建設工事の内容、例示、区分の考え方
目次
- とび・土工・コンクリート工事の定義と具体例 🏗️
- 石工事の定義と具体例 🪨
- タイル・れんが・ブロック工事の定義と具体例 🧱
- 工事の判断基準💡土木?建築?規模は?
- 具体的な工事例で解説!どの工事業種に該当する?
- まとめ|コンクリートブロック工事の許可判断
- 確認クイズ(3問)
1. とび・土工・コンクリート工事の定義と具体例
法律上の定義
「とび・土工・コンクリート工事」は、足場の組立て、重量物の運搬、鉄骨の組立て、コンクリートによる工作物の築造、くい打ち、土砂の掘削など、多岐にわたる基礎的な工事を包括する業種です。
国土交通省のガイドラインでは、コンクリートブロックに関する工事について、「コンクリートブロック据付け工事」として定義しています。これは、大規模な土木工事において、根固めブロックや消波ブロックなどの巨大なコンクリートブロックを設置する工事や、プレキャストコンクリートの柱や梁などの部材を据え付ける工事を指します。
該当する工事例
- 根固めブロック、消波ブロックの据付け工事:河川や海岸の護岸工事などで、波の浸食を防ぐために大きなコンクリートブロックを据え付ける工事です。
- プレキャストコンクリート部材の設置工事:工場で製造されたコンクリート製の柱、梁、床版などをクレーンなどで現場に運搬し、組み立てる工事です。
- 大規模な擁壁工事:土砂の崩壊を防ぐために、大規模なコンクリートブロックを据え付ける擁壁工事です。
- その他:くい打ち工事、掘削工事、コンクリート打設工事、法面保護工事、道路標識やガードレールの設置工事などもこの業種に含まれます。
非該当例
- 建築物の内装や外装として擬石をとり付ける工事:これは「石工事」に該当します。
- 建築物をコンクリートブロックで建設する工事:これは「タイル・れんが・ブロック工事」に該当します。
【まとめ】 とび・土工・コンクリート工事は、土木工事における大規模なコンクリートブロックの据付けや、建築物の基礎部分、躯体に関わる広範な工事を扱う業種です。
2. 石工事の定義と具体例
法律上の定義
「石工事」は、石材(コンクリートブロックや擬石を含む)を加工したり、積み・張りして、工作物を築造する工事です。勾配が1割未満のものを「積み」といい、勾配が1割以上の緩いものを「張り」といいます。
国土交通省のガイドラインでは、コンクリートブロックに関する工事について、「コンクリートブロック積み(張り)工事」という名称で定義しています。これは、建築物の内外装として擬石などをはり付ける工事、あるいは法面処理や擁壁としてコンクリートブロックを積み上げたり張り付けたりする工事を指します。
該当する工事例
- 建築物の内外装として擬石をとり付ける工事:建物の壁面に石材や擬石をとり付けて装飾する工事です。
- 法面処理としてコンクリートブロックを積む(張る)工事:山の斜面や道路の法面を保護するため、コンクリートブロックを積み上げたり、張り付けたりする工事です。
- 庭園の石積み工事:庭石を配置したり、石材で花壇や塀を築造したりする工事です。
- 墓石工事:墓石の設置や石碑の制作、設置工事です。
非該当例
- 大規模な土木工事で消波ブロックや根固めブロックを据え付ける工事:これは「とび・土工・コンクリート工事」に該当します。
- コンクリートブロックで建築物を建設する工事:これは「タイル・れんが・ブロック工事」に該当します。
【まとめ】 石工事は、石材(擬石、コンクリートブロックを含む)を加工し、装飾や保護を目的として積み上げたり、はり付けたりする工事が中心です。
3. タイル・れんが・ブロック工事の定義と具体例
法律上の定義
「タイル・れんが・ブロック工事」は、れんがやコンクリートブロックなどを用いて、工作物を築造したり、工作物にれんが、コンクリートブロック、タイル等を取付け、又は、はり付ける工事です。
国土交通省のガイドラインでは、コンクリートブロックに関する工事について、「コンクリートブロック積み(張り)工事」という名称で定義しています。これは、コンクリートブロックによって建築物を建設する工事や、エクステリア工事としてこれを行う場合を含みます。
該当する工事例
- コンクリートブロック造の建築物建設工事:コンクリートブロックを積み上げて、住宅や倉庫などの建物を一から建設する工事です。
- タイルの貼り付け工事:建物の床や壁、浴室などにタイルをはり付ける工事です。
- れんが積み工事:れんがを積み上げて、壁や煙突などを築造する工事です。
- エクステリア工事:住宅の塀や門柱、花壇などをコンクリートブロックで造る工事です。
非該当例
- コンクリート造の建築物の外壁に石材をとり付ける工事:これは「石工事」に該当します。
- 消波ブロックやプレキャストコンクリート部材の据付け工事:これは「とび・土工・コンクリート工事」に該当します。
【まとめ】 タイル・れんが・ブロック工事は、コンクリートブロックを主要な建材として、建物の建設やエクステリア工事を行う場合に該当します。
他の29業種を確認されたい方は29業種全体の解説をご覧ください👇

4. 工事の判断基準💡土木?建築?規模は?
コンクリートブロックに関する工事がどの業種に該当するかは、工事の目的と規模、そして工事の分類が「土木」か「建築」かという視点が重要な判断基準となります。
国土交通省のガイドラインでは、この3つの業種間の区分の考え方を明確に示しています。
- とび・土工・コンクリート工事:
- 目的:土木工事における大規模なコンクリートブロックの「据付け」
- 具体例:根固めブロックや消波ブロック、プレキャストコンクリート部材の設置
- 特徴:重機やクレーンなどを使って、巨大なブロックを設置する工事をイメージしてください。
- 石工事:
- 目的:土木工事における法面保護や擁壁、または建築物の内外装におけるコンクリートブロックの「積み(張り)」
- 具体例:法面をコンクリートブロックで覆う
- 特徴:石材としてコンクリートブロックを使い、擁壁とします。
- タイル・れんが・ブロック工事:
- 目的:コンクリートブロックによる建築物の「建設」
- 具体例:コンクリートブロックでできた住宅や倉庫、エクステリアの塀
- 特徴:コンクリートブロックを主要な建材として、構造物自体を築造します。
【迷いやすいケース】
- 擁壁工事:
- 比較的小規模な擁壁や法面を保護する目的でブロックを積む場合は「石工事」に該当します。
- 一方、土砂崩壊を防ぐために大規模なコンクリートブロックを据え付ける工事は「とび・土工・コンクリート工事」に該当します。
- この判断は、工事全体の規模や目的を総合的に見て判断する必要があります。
- エクステリア工事:
- コンクリートブロックを使って門柱や塀、花壇などを造る場合は、建築物を建設する工事の一部として「タイル・れんが・ブロック工事」に該当します。
- 庭に景石を配置したり、石材で造園する場合は「造園工事」または「石工事」に該当することもあります。
このように、同じ「コンクリートブロック」を使う工事でも、その目的や工事の特性によって許可業種が分かれるため、注意が必要です。また許認可行政機関により判断も微妙に違いがあるため確認が必要です。
5. 具体的な工事例で解説!どの工事業種に該当するか当てはめ
ここまでの解説を、具体的な工事例に当てはめてみましょう。
工事内容 | 目的・特徴 | 該当する建設業許可 |
河川の護岸に消波ブロックを設置する | 大規模な土木工事。重機で巨大なブロックを据え付ける。 | とび・土工・コンクリート工事 |
ブロック塀を積み上げて住宅の境界を築造する | エクステリア工事。ブロックを主要な建材として構造物を築造する。 | タイル・れんが・ブロック工事 |
工場で製造されたPC(プレキャストコンクリート)板を建物の壁に設置する | 建築物の躯体の一部を据え付ける。 | とび・土工・コンクリート工事 |
道路沿いの斜面(法面)に、小規模なコンクリートブロックを張り付け、崩壊を防ぐ | 道路という土木工事に関連するが、小規模な法面保護が目的。 | 石工事 |
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このように、一口に「コンクリートブロック工事」といっても、工事の目的や内容によって、取るべき許可が全く異なることがわかります。
6. まとめ|コンクリートブロック工事の許可判断
本記事では、国土交通省の資料に基づき、コンクリートブロックを使った工事における3つの許可業種、「とび・土工・コンクリート工事」「石工事」「タイル・れんが・ブロック工事」の違いを解説しました。
- **大規模な土木工事における「据付け」**なら「とび・土工・コンクリート工事」。
- **建築物の内外装や法面保護における「積み(張り)」**なら「石工事」。
- **ブロックによる建築物の「建設」**なら「タイル・れんが・ブロック工事」。
この3つの区分の考え方を理解することが、適切な建設業許可を取得するための第一歩です。ご自身の事業内容と照らし合わせ、どの許可が必要か判断する際の参考にしてください。もし判断に迷う場合は、専門家である行政書士に相談することをおすすめします。
建設業許可全体の手続きを確認したい方
必要な手続き書類を確認したい方は
こちらの解説をご覧ください👇他の許可条件も完全ガイド

7. 確認クイズ(3問)
コンクリートブロック工事の許可クイズ
コンクリートブロックを使った工事は、どの業種の許可が必要かご存知ですか?
記事の内容を振り返りながら、3問のクイズに挑戦してみましょう!
【第1問】
『とび・土工・コンクリート工事』『石工事』『タイル・れんが・ブロック工事』の3つの業種を判断する上で、最も重要な視点とは何でしょう?
- 工事の請負金額の大小
- 工事の期間の長さ
- 工事の目的と分類(土木か建築か)
【第2問】
道路沿いの斜面(法面)に、小規模なコンクリートブロックを張り付けて崩壊を防ぐ工事は、どの業種に該当するでしょう?
- とび・土工・コンクリート工事
- 石工事
- タイル・れんが・ブロック工事
【第3問】
住宅の塀や門柱をコンクリートブロックで建設する工事は、どの業種に該当するでしょう?
- とび・土工・コンクリート工事
- 石工事
- タイル・れんが・ブロック工事