看板設置はどっち?とび・土工・コンクリート工事と鋼構造物工事の許可判断の違いを解説!

建設業許可は29種類あり、工事内容によって必要な許可が異なります。特に看板設置工事は、「屋外広告物設置工事」として「とび・土工・コンクリート工事」に、「屋外広告工事」として「鋼構造物工事」に分類されるため、どちらの許可が必要か判断に迷うことがよくあります。この記事では、国土交通省の資料をもとに、この2つの工事業種の定義と、看板設置工事を正しく判断するためのポイントをわかりやすく解説します。

参考資料:国土交通省(H29年11月10日改正)業種区分、建設工事の内容、例示、区分の考え方


目次

  1. とび・土工・コンクリート工事の定義と具体例 🚧
  2. 鋼構造物工事の定義と具体例 🏗️
  3. 工事の判断基準|看板設置工事の分類方法 🤔
  4. 具体的な工事例から学ぶ!当てはめ方 🛠️
  5. まとめ|看板工事の許可判断は「製作」の有無が鍵 💡
  6. 確認クイズ(看板設置工事)

1. とび・土工・コンクリート工事の定義と具体例 🚧

「とび・土工・コンクリート工事」は、建設工事の基礎となる部分や、重量物の運搬・配置など、幅広い作業を担う業種です。看板設置工事と深く関わるため、その定義を正確に理解することが重要です。

1-1. 定義:建設工事の基礎部分を担う広範な工事

国土交通省の資料によると、「とび・土工・コンクリート工事」は、以下の工事を総称したものです。

  1. 足場の組立て、機械器具・建設資材等の重量物のクレーン等による運搬配置、鉄骨等の組立て等を行う工事
  2. くい打ち、くい抜き及び場所打ぐいを行う工事
  3. 土砂等の掘削、盛上げ、締固め等を行う工事
  4. コンクリートにより工作物を築造する工事
  5. その他基礎的ないしは準備的工事

この定義5.その他基礎的ないしは準備的工事には、建設工事例示により、地すべり防止工事、地盤改良工事、ボーリンググラウト工事、土留め工事、仮締切り工事、吹付け工事、法面保護工事、道路付属物設置工事、屋外広告物設置工事、捨石工事、外構工事、はつり工事、切断穿孔工事、アンカー工事、あと施工アンカー工事、潜水工事が挙げられております。

例示工事の中に「屋外広告物設置工事」が含まれており、看板設置工事のひとつの分類となっています。

1-2. 具体例:とび・土工・コンクリート工事に該当するケース

  • 基礎工事:看板を設置するためのコンクリート基礎を打設する工事。
  • 重量物運搬配置工事:既に完成している大型の看板を現場まで運び、クレーンなどで所定の位置に据え付ける工事。
  • 鉄骨組立工事:加工済みの鉄骨部材を現場で組み立てる工事。

看板設置において、看板本体の製作を行わず、据え付けや設置作業のみを請け負う場合は、この「とび・土工・コンクリート工事」に該当します。

1-3. まとめ:とび・土工は「設置」に特化した工事

とび・土工・コンクリート工事は、看板そのものを製作するのではなく、現場での**土台作りや、完成した看板の運搬・据え付けといった「設置作業」**に重点が置かれた工事です。


2. 鋼構造物工事の定義と具体例 🏗️

「鋼構造物工事」は、鋼材を加工・組み立てて工作物を築造する工事を指します。鉄骨造の建物や橋梁、鉄塔などが代表的な例ですが、看板設置工事においても、この業種に分類される場合があります。

2-1. 定義:鋼材の加工や組立てにより工作物を築造する工事

国土交通省の資料では、「形鋼、鋼板等の鋼材の加工又は組立てにより工作物を築造する工事」と定義されています。

この定義の建設工事の例示には、橋梁工事や鉄塔工事のほか、「屋外広告工事」も含まれています。屋外広告物設置工事が「とび・土工・コンクリート工事」に分類されるのに対し、屋外広告工事は「鋼構造物工事」に含まれる点が大きな特徴です。

2-2. 具体例:鋼構造物工事に該当するケース

  • 鉄骨工事:鉄骨の製作、加工から現場での組み立てまでを一貫して請け負う工事。
  • 橋梁工事:鋼材を用いて橋を架ける工事。
  • 鉄塔工事:送電線用の鉄塔などを建設する工事。
  • 屋外広告工事:現場で屋外広告物(看板)の製作、加工から設置までを一貫して請け負う工事。

看板の製作から設置までを一貫して請け負う場合は、この「鋼構造物工事」の許可が必要になります。

2-3. まとめ:鋼構造物工事は「製作と設置」の一貫した工事

鋼構造物工事は、看板の製作や加工といった工程から、現場での設置までをまとめて行う、一貫した工事です。

他の29業種を確認されたい方は29業種全体の解説をご覧ください👇


3. 工事の判断基準|看板設置工事の分類方法 🤔

看板設置工事が「とび・土工・コンクリート工事」と「鋼構造物工事」のどちらに該当するかは、「看板の製作・加工」を請け負うか否かが最も重要な判断基準となります。

3-1. 国土交通省が示す明確な区分基準

国土交通省の資料には、この2つの工事業種の区分について、以下のように明記されています。

『とび・土工・コンクリート工事』における「屋外広告物設置工事」と『鋼構造物工事』における「屋外広告工事」との区分の考え方は、現場で屋外広告物の製作、加工から設置までを一貫して請け負うのが『鋼構造物工事』における「屋外広告工事」であり、それ以外の工事が『とび・土工・コンクリート工事』における「屋外広告物設置工事」である。

この一文が、看板設置工事の許可を判断する上で最も重要な指針となります。

3-2.現場での 製作・加工の有無で判断する

  • 「製作・加工」から「設置」までを請け負う場合 → 鋼構造物工事
    • 看板の設計、材料の加工、看板本体の組み立て、そして現場での取り付けまでを一貫して行う場合です。
  • 既に完成している看板の「設置」のみを請け負う場合 → とび・土工・コンクリート工事
    • 他社が製作した看板や、工場で完成した看板を現場で基礎に据え付けたり、建物に取り付けたりする作業のみを請け負う場合です。

この考え方は、鉄骨工事の区分にも同様に適用されます。鉄骨の製作から組み立てまでを一貫して請け負うのが「鋼構造物工事」であり、加工済みの鉄骨を現場で組み立てる作業のみを請け負うのが「とび・土工・コンクリート工事」となります。

3-3. まとめ:請け負う範囲が判断の決め手

看板設置工事の許可を判断する際は、**「看板を現場で製作・加工するかどうか」**その後「設置までおこなうかどうか」をまず確認しましょう。これによって、必要な許可が明確に定まります。


4. 具体的な工事例から学ぶ!当てはめ方 🛠️

実際の工事例を挙げて、どちらの業種に該当するかを見ていきましょう。

工事の具体例該当する工事業種判断の理由
看板の製作から現場での設置まで一括で請け負う工事鋼構造物工事看板の「製作・加工」から「設置」まで一貫して請け負うため。
既製品の看板をクレーンで吊り上げ、建物の壁面に取り付ける工事とび・土工・コンクリート工事看板の製作・加工は行わず、「設置」作業のみを請け負うため。
大型の屋外広告塔を建てる際、地中に基礎を打設する工事とび・土工・コンクリート工事広告塔そのものの製作ではなく、土台となる基礎部分の工事であるため。
看板の鉄骨部分の製作・溶接から、設置まで行う工事鋼構造物工事鉄骨の製作・加工・組み立てまでを一貫して請け負うため。
既存の看板の撤去と、新しい看板の設置(製作は別会社)とび・土工・コンクリート工事看板の製作・加工は含まれず、設置作業と撤去作業がメインの工事であるため。

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5. まとめ|看板工事の許可判断は「製作」の有無が鍵 💡

看板設置工事に必要な建設業許可は、請け負う工事の範囲によって決まります。

  • 看板の現場で「製作」・「加工」と「設置」の両方を請け負う場合 → 鋼構造物工事
  • 完成した看板の「設置」のみを請け負う場合 → とび・土工・コンクリート工事

これが、国土交通省の区分基準における最も重要なポイントです。

もし、看板の製作も手掛けているが、小規模な設置工事のみを請け負うという場合でも、製作工程が含まれる時点で「鋼構造物工事」の許可が必要となる可能性が高いため注意が必要です。

自社の事業内容がどちらに該当するか迷う場合は、両方の許可を取得するか、行政書士などの専門家へ相談することをお勧めします。正しい許可を取得することで、安心して事業を継続していきましょう。

建設業許可全体の手続きを確認したい方

必要な手続き書類を確認したい方は

こちらの解説をご覧ください👇他の許可条件も完全ガイド

6. 確認クイズ(看板設置工事)

看板設置工事の許可業種クイズ

看板設置工事の許可、正しい業種を判断できますか?
記事を読み返しながら、3問のクイズに挑戦してみましょう!

【第1問】
既に完成している看板をクレーンで吊り上げ、建物の壁面に取り付ける工事は、どちらの許可が必要でしょう?

  • とび・土工・コンクリート工事
  • 鋼構造物工事
  • 電気工事

【第2問】
看板の製作、加工から現場での設置までを一貫して請け負う工事は、どちらの許可が必要でしょう?

  • とび・土工・コンクリート工事
  • 鋼構造物工事
  • 塗装工事

【第3問】
看板設置工事において、「とび・土工・コンクリート工事」と「鋼構造物工事」を区分する最も重要な判断基準は何でしょう?

  • 工事金額
  • 現場での「製作・加工」の有無
  • 工事期間

全問終了です!お疲れ様でした!

適切な許可を取得して信頼される事業を運営するために、専門家へのご相談をおすすめします。

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