【初心者向け】建設業許可とは?分かりやすく解説!|取得の流れ・要件・注意点まで完全ガイド

この記事でわかること
建設業許可は、建設工事を請け負うために必要な許可です。取得することで、企業の信頼性が向上し、より大きな工事や公共工事の受注機会が広がります。しかし、その申請には複雑な要件や多くの書類が必要となるため、初めての方にとっては非常にハードルが高いと感じるかもしれません。
この記事では、大阪府が発行する「建設業許可申請手引き(令和7年3月版)」に基づき、建設業許可の中でも特に重要な事項に焦点を当てて、初心者の方にもわかりやすく解説します。制度の背景から具体的な要件、必要となる書類まで、あなたの疑問に先回りして答え、スムーズな許可取得をサポートします。
目次
- 建設業許可の要!「経営業務の管理体制」を徹底解説
- 建設業許可と社会保険:なぜ加入が必須なのか?
- 建設業許可の要!「営業所技術者等」とは?
- 建設業許可の財産的要件とは?初心者向けにわかりやすく解説
- 建設業許可の「欠格要件」と「誠実性」とは?初心者向けに徹底解説
- 建設業許可の「営業所」って何?定義から要件、必要書類まで徹底解説
- 建設業許可の「常勤性」とは?証明方法から必要書類まで徹底解説
1 建設業許可の要!「経営業務の管理体制」を徹底解説
建設業許可を取得するには、建設工事を適正に実施できるだけの経営体制が整っていることが必須です。その中でも特に重要なのが、会社の経営を適切に管理する能力があるかどうかの判断基準となる「経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を有する者」、通称「常勤役員等」の要件です。
この要件は、建設業の健全な発展と、発注者の保護を目的として設けられています。適切な経営能力を持つ者が事業を運営することで、手抜き工事や倒産による工事の中断といったトラブルを防ぎ、建設業界全体の信頼性を高めることにつながります。
「常勤役員等」とは?経営の中核を担う人材の定義
まず、「常勤役員等」とは具体的にどのような人を指すのでしょうか?
法人で建設業許可を申請する場合、常勤の役員のうちの1人が、個人事業主の場合は、本人または支配人のうちの1人がこの要件を満たす必要があります。
ここでいう「役員」とは、会社の業務を実際に執行する立場の人のことを指し、具体的には以下の役職が該当します。
- 業務を執行する社員(持分会社の場合)
- 取締役(株式会社の場合)
- 執行役(指名委員会等設置会社の場合)
- これらに準ずる者:法人格のある各種組合等の理事などが該当します。執行役員や監査役は原則として含まれませんが、取締役会の決議によって建設業の経営業務に関する具体的な権限を委譲された執行役員などは含まれる場合があります。
また、「常勤」とは、原則として以下の条件を満たす必要があります。
- 報酬が一定額(月額10万円を目安)以上であること
- 本社や本店などで、休日を除き計画をもとに毎日所定の時間、その職務に従事していること
他の法令で専任が義務付けられている(例:建築士事務所の建築士、宅地建物取引業者の宅地建物取引士など重複する者)場合は、原則として常勤とは認められません。ただし、専任を要する営業体と場所が同一の場合は、兼任が認められることもあります。
「支配人」は、営業主に代わってその営業に関する一切の行為を行う権限を持つ使用人を指し、商業登記の有無で判断されます。
常勤役員等に求められる3つの経験パターン
常勤役員等には、建設業に関する一定の経営経験が求められます。主なパターンは以下の3つです。
パターン1:建設業での豊富な経営経験を持つ場合
最も一般的なパターンで、常勤役員等のうち1人が以下のいずれかの経験を持っている場合です。
(a1) 建設業で5年以上の「経営業務の管理責任者」経験
これは、建設業の経営全般を総合的に管理した経験を指します。具体的には、業務を執行する社員、取締役、執行役、法人格のある組合等の理事、個人の事業主、支配人、または支店長・営業所長など、営業取引上対外的に責任を有する立場で、経営業務を執行した経験が該当します。
(a2) 建設業で5年以上の「経営業務の管理責任者に準ずる地位」での経験(権限委譲を受けていた場合)
取締役会を設置している会社で、取締役会の決議によって特定の事業部門に関する業務執行権限を委譲され、取締役会の定めた方針に従って具体的な業務執行に専念した経験がある場合です。この場合、単なる担当役員ではなく、経営業務の一部を実質的に管理していたことが求められます。
(a3) 建設業で6年以上の「経営業務の管理責任者を補佐する業務」経験
これは、経営業務の管理責任者の業務を補佐する立場として、経営業務に従事した経験を指します。例えば、経営企画部門や総務部門などで、経営戦略の策定や組織運営に携わった経験などが該当します。また、会社で工事部長等の地位で契約等の業務一切を担当していた者もあたると考えられます。さらに、個人事業主である父の経営業務全般について6年以上補助していた子などがあたると考えられます。
注意!(a2)(a3)は証明が難しい作業になりますので大阪府との事前相談をしながら進めてください。
パターン2:特定の経験とそれを補佐する人材がいる場合
常勤役員等1人だけでは経験年数が不足する場合でも、特定の経験を持つ常勤役員等と、それを直接補佐する複数の人材を配置することで要件を満たすことができます。
【常勤役員等】の経験
以下のいずれかの経験を持つ常勤役員等が必要です。
- (b1) 建設業で2年以上役員等としての経験、かつ、5年以上役員等またはそれに次ぐ職制上の地位(財務管理、労務管理、業務運営のいずれかを担当)としての経験。例えば、建設業者で業務部門担当の執行役員を2年経験したのちに、取締役を3年経験した方などが該当します。
- 「役員等に次ぐ職制上の地位」とは、会社内の組織体系で役員に次ぐ役職であり、必ずしも代表権は必要ありません。
- (b2) 5年以上役員等としての経験、かつ、建設業で2年以上役員等としての経験。例えば、飲食店で取締役を3年経験したのちに、建設業者で取締役を2年経験した方などが該当します。
【常勤役員等を直接に補佐する者】
上記の常勤役員等を直接(他の者を介することなく直接指揮命令を受け、常勤で業務を行うこと)補佐する形で、以下の3名が必要です。それぞれの業務経験は、申請する建設業者または許可を受けようとする建設業を営む者にあっては当該建設業を営む者における5年以上の建設業の業務経験に限定されます。
- (c1) 5年以上の「財務管理」の業務経験を持つ者
- 建設工事に必要な資金調達、資金繰りの管理、下請業者への代金支払いなどに関する経験を指します。
- (c2) 5年以上の「労務管理」の業務経験を持つ者
- 社内や工事現場での勤怠管理、社会保険関係の手続きなどに関する経験を指します。
- (c3) 5年以上の「業務運営」の業務経験を持つ者
- 会社の経営方針や運営方針の策定、実施に関する経験を指します。
このパターンは、特定の役員が経験年数を満たさない場合に有効な選択肢となります。
パターン3:国土交通大臣の個別認定
イまたはロに掲げるものと同等以上の経営体制があると、国土交通大臣が個別に認定した場合も認められます。これは非常に稀なケースで、特別な事情がある場合に適用されます。
経営業務の管理責任者に関する必要書類
パターン1 イ(a1)建設業で5年以上の経営経験がある場合
最も一般的なパターンが、建設業に関して5年以上の経営経験がある場合です。これは、法人の役員または個人事業主として、建設業の経営業務を管理していた期間を証明するものです。
この要件を満たすには、以下の3つのポイントを証明する必要があります。
経営経験を証明する3つの柱
- 営業の実態:事業が継続して行われていたことを証明する
- 営業の実績:実際に建設工事を請け負っていたことを証明する
- 常勤の役員(または個人事業主):経営者としての地位と、その期間を証明する
これらの3つの期間がすべて重なる部分が「経験年数」として認められます。
必要な書類一覧
ご自身の経験が「法人の役員」か「個人事業主」かによって、必要な書類が異なります。
法人の役員として経験を証明する場合
- 営業の実態を証明する書類
- 法人税の確定申告書(別表一)および決算報告書
- ポイント:税務署の受付印(電子申告の場合は受信通知)が必須です。
- 法人税の確定申告書(別表一)および決算報告書
- 営業の実績を証明する書類
- 工事内容・工事期間・請負金額が確認できる書類(請求書、注文書、契約書などいずれかが必要です)
- ポイント:毎年分の代表的な工事を証明する必要があります。また、各工事の間隔が1年以上空いていないことが重要です。
- 工事内容・工事期間・請負金額が確認できる書類(請求書、注文書、契約書などいずれかが必要です)
- 常勤の役員であることを証明する書類
- 商業登記簿謄本・閉鎖謄本の(履歴事項全部証明書・閉鎖事項全部証明書)
- 法人税の確定申告のうち役員給与等の内訳書
- ポイント:役員としての就任から退任まで、期間が途切れていないか確認しましょう。
個人事業主として経験を証明する場合
- 営業の実態と実績が全て重なる期間が経験年数です
- 営業の実態を証明する書類
- 所得税の確定申告書(第一表)
- ポイント:法人の場合と同様、税務署の受付印(または受信通知)が必須です。
- 所得税の確定申告書(第一表)
- 営業の実績を証明する書類
- 工事内容・工事期間・請負金額が確認できる書類(請求書、注文書、契約書などいずれかが必要です)
- ポイント:こちらも毎年分の代表的な工事の証明が必要です。工事の間隔が1年以上空かないように注意しましょう。
- 工事内容・工事期間・請負金額が確認できる書類(請求書、注文書、契約書などいずれかが必要です)
- 営業の実態を証明する書類
過去に建設業許可を受けていた場合(コピーでOK)
もし、過去に建設業許可を取得していた事業者での経験がある場合、書類の準備が比較的スムーズになることがあります。
ただし、状況によって提出書類が異なりますので、ご自身のケースに合わせて確認しましょう。
- 過去に経営業務管理責任者として証明されている場合
- 建設業許可申請書または変更届の一部(受付印のある表紙、および常勤役員等証明書)(様式第7号)
- 過去に経営業務管理責任者として証明されていない法人の役員・個人事業主の場合
- 上記の書類、建設業許可通知書(様式第7号)に加え、商業登記簿謄本(役員等閉鎖謄本など)が必要になります。
- 支店長等としての経験の場合
- 建設業許可通知書(経験年数分)、営業所一覧表(様式第1号別紙2)、使用人の一覧表(様式第11号)など、複数の書類を組み合わせて提出します。
いずれのケースでも、過去の許可申請書類や決算変更届などがカギとなります。紛失している場合は再発行が必要になるため、事前に確認しておきましょう。
要件を満たす常勤役員等を明確にし、その経験と常勤性を裏付ける書類をしっかりと準備することが、建設業許可取得への第一歩となります。
建設業許可取得は専門家への相談が近道!
建設業許可の取得は、単に書類を揃えるだけでなく、複雑な要件を正確に理解し、適切な証明を行う必要があります。特に「経営業務の管理責任者」の要件は、会社の経営体制の根幹に関わる部分であり、その判断は非常に専門的です。
「うちの会社の役員は要件を満たしているのだろうか?」 「必要な書類が多すぎて、何から手をつけて良いかわからない」 「万が一、不許可になったらどうしよう…」
このような不安をお持ちの方は、ぜひ一度、建設業許可の専門家にご相談ください。私たちは、大阪府の最新の手引きに基づき、あなたの会社の状況を丁寧にヒアリングし、最適な許可取得への道筋をご提案いたします。
無料相談も承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。あなたの建設事業のさらなる発展を、私たちが全力でサポートします!
すべての業者が建設業許可が必要?建設業許可が必要な場合の解説を簡略してまとめております。
こちらをご覧ください👇

2 建設業許可と社会保険:なぜ加入が必須なのか?
建設業許可の取得を目指す事業者様にとって、様々な要件の中でも特に見落としがちなのが「社会保険への加入」です。しかし、この要件は令和2年10月1日以降、確認資料の提出が必須となり、許可取得の可否を左右する重要な要素となっています。
建設業界では、長時間労働や労働災害のリスクが高い一方で、社会保険への未加入が問題視されてきました。このような背景から、労働者の保護と業界全体の健全化を図るため、建設業許可の要件として社会保険等の加入が厳格化されました。これにより、許可を取得する事業者は、従業員が安心して働ける環境を整備していることが求められます。
この記事では、大阪府が発行する「建設業許可申請手引き(令和7年3月版)」に基づき、建設業許可における社会保険(健康保険・厚生年金保険・雇用保険)の加入要件について、初心者にもわかりやすく解説します。必要な書類や注意点、そして疑問に先回りして答える形で、あなたの建設業許可取得をサポートします。
健康保険・厚生年金保険の加入要件と確認書類
まず、健康保険と厚生年金保険について見ていきましょう。これらの保険は、従業員の病気や怪我、老後の生活を支えるための重要な制度です。
適用事業所となる条件
原則として、以下の事業所は健康保険・厚生年金保険の適用事業所となり、加入が義務付けられています。
- 法人事業所:従業員の人数にかかわらず、すべての法人が適用事業所となります。
- 個人事業所:常時5人以上の従業員(家族従業員を除く)を使用する個人事業所が原則適用事業所となります。
ただし、健康保険については、適用事業所であっても、事業主が健康保険適用除外承認を申請し、年金事務所が承認した場合は、適用除外を受けることができます。(例:全国土木建築国民健康保険組合等に加入している場合)
必要な確認書類
建設業許可の申請時には、健康保険・厚生年金保険の加入状況を確認できる以下のいずれかの書類の写しを提出する必要があります。これらの書類は、直近月または直近分の写しを用意し、被保険者整理番号および基礎年金番号はマスキングしてください。
- 健康保険(全国健康保険協会)に加入の場合
- 納入告知書・納付書・領収証書
- 保険納入告知額・領収済通知書
- 社会保険料納入確認(申請)書(受付印のあるもの)
- 健康保険・厚生年金保険被保険者標準報酬決定通知書
- 組合管掌健康保険に加入の場合
- 健康保険組合発行の保険料領収証書(健康保険について)
- 上記「健康保険(全国健康保険協会)に加入の場合」のいずれかの書類(厚生年金保険について)
- 国民健康保険に加入の場合
- 上記「健康保険(全国健康保険協会)に加入の場合」のいずれかの書類(厚生年金保険について)
【注意点】
健康保険・厚生年金保険の資格取得届出後、間もなく申請を行う場合で、まだ「健康保険・厚生年金保険被保険者標準報酬決定通知書」が届いていない場合は、日本年金機構の受付印がある「健康保険・厚生年金保険の資格取得届」の写しを提出することで、一時的に申請を受け付けてもらえます。ただし、許可の通知書は、「健康保険・厚生年金保険被保険者標準報酬決定通知書」の提出後となるため、早めに準備しましょう。
ご自身の事業所が適用事業所に該当するかどうか判断に迷う場合は、お近くの年金事務所に相談することをおすすめします。大阪府内の年金事務所一覧は、日本年金機構のウェブサイトで確認できます。
雇用保険の加入要件と確認書類
次に、雇用保険の加入要件についてです。雇用保険は、労働者が失業した場合や育児・介護などで休業した場合に、生活の安定と就職の促進を図るための制度です。
適用事業所となる条件
1人でも労働者を雇っている場合は、法人、個人事業主の別なく雇用保険の適用事業所となり、加入が義務付けられます。
ただし、以下の場合は雇用保険の適用除外となります。
- 法人の役員
- 個人事業主本人
- 同居の親族のみで構成される事業所
必要な確認書類
建設業許可の申請時には、雇用保険の労働保険番号を確認できる以下のいずれかの書類の写しを提出する必要があります。これらの書類も、直近月または直近分の写しを用意しましょう。
- 「労働保険概算・確定保険料申告書」および「領収済通知書」
- 「労働保険料等納入通知書」および「領収済通知書」
- 許可申請時直前の雇用保険料の納付に係る労働保険料等納入証明書(労働局発行のもの)
- 提出の目的が「建設業許可に関する文言」となっていること、提出先が正しく記載されていることを必ず確認してください。
- 事業所設置届出後間もなく、まだ保険料の支払いが発生していない場合(いずれか1点必要)
- 雇用保険被保険者資格取得等確認通知書(事業主通知用)
- 雇用保険適用事業所設置届 事業主控(提出先での受付済印があるもの)
雇用保険の適用除外・適用対象外になるかの判断については、公共職業安定所(ハローワーク)に問い合わせてください。大阪府内のハローワーク一覧は、厚生労働省のウェブサイトで確認できます。
3 建設業許可の要!「営業所技術者等」とは?
建設業許可を取得する上で、会社の「顔」とも言える重要な要件の一つが、各営業所に配置する「営業所技術者等」の存在です。この要件は、単に資格を持っていれば良いというものではなく、それぞれの建設業種に応じた専門知識と実務経験、そして常勤性が求められます。
建設工事は、その性質上、専門性の高い技術と適切な管理が不可欠です。営業所技術者等は、まさにその技術的な中核を担う人材であり、工事の品質確保、安全管理、そして法令遵守において重要な役割を果たします。この人材の配置を義務付けることで、建設業許可を持つ事業者が、常に一定水準以上の技術力と管理体制を維持することを目的としています。
この記事では、大阪府が発行する「建設業許可申請手引き(令和7年3月版)」に基づき、建設業許可における「営業所技術者等」の要件について、一般建設業と特定建設業に分けて詳しく解説します。求められる資格や実務経験、必要となる書類、そしてよくある疑問点に先回りして答える形で、あなたの建設業許可取得をサポートします。
「専任の技術者」に求められる常勤性
建設業許可を取得する事業者は、その許可を受けようとする建設業種ごとに、各営業所に「営業所技術者等」を専任で配置する必要があります。この「専任」とは、その営業所に常勤し、専らその職務に従事することを意味します。
営業所技術者等は、以下のような状態では原則として「専任」とは認められません。
- 住所が営業所から著しく遠距離にあり、常識的に通勤が不可能な者
- 他の営業所(他の建設業者の営業所を含む)で専任を要する者
- 建築士事務所を管理する建築士や専任の宅地建物取引士など、他の法令で特定の事務所等で専任を義務付けられている者(ただし、建設業の営業所が他の法令で専任を要する事務所等と兼ねている場合は除く)
- 他に個人事業を行っている者や、他の法人の常勤役員である者など、他の営業活動で専任に近い状態にあると認められる者
- 給与が大阪府の地域別最低賃金を下回る者
ただし、特例として、以下の要件をすべて満たす場合は、営業所技術者等が当該工事の専任を要しない主任技術者または監理技術者(「監理技術者等」)となることができます。
- 当該営業所で請負契約が締結された建設工事であること
- 工事現場と営業所が近接し、常時連絡が取れる体制にあること
- 所属建設業者と直接的かつ恒常的な雇用関係にあること
- 当該工事の専任を要しない監理技術者等であること(公共性のある重要な工事【請負代金税込みが4,000万円以上(建築一式は8,000万円以上)】以外に配置される者)=請負代金(税込み)4000万円未満の工事
また、営業所技術者等は、同一営業所内であれば複数の業種を担当することも可能です。ただし、複数の業種で実務経験を要する場合は、それぞれの経験期間が異なる期間である必要があり、重複する期間は二重に計算されません。
一般建設業における「営業所技術者」の要件
一般建設業の建設業許可を取得する場合、各営業所に配置する「営業所技術者」は、以下の1,2,3いずれかの資格または学歴・実務経験を満たす必要があります。
1. 学歴と実務経験による要件
特定の学校を卒業し、関連する学科を修めた上で、一定の実務経験がある場合です。
- 高校所定学科卒業後5年以上の実務経験または
- 大学所定学科卒業後3年以上の実務経験
「実務の経験」とは、建設工事の施工に関する技術上の職務経験全般を指します。単なる雑務は含まれませんが、設計技術者としての設計、現場監督としての監督、土工としての作業なども含まれます。経験期間は、具体的に携わった期間を積み上げて計算しますが、重複期間は原則として二重には計算しません。
2. 10年以上の実務経験による要件
- 許可を受けようとする建設業に係る建設工事に関し、10年以上の実務経験を有する者。
これは、学歴や資格がなくても、長年の現場経験によって技術力を培ってきた方を評価する要件です。
3. 国家資格等による要件
- 許可を受けようとする建設業種に応じた国家資格(例:1級・2級など)を保有している者。具体的な資格は、大阪府の「第6章参考資料3営業所技術者等資格要件一覧表別表1」に記載されています。(建築施工管理技士・土木施工管理技士・電気工事施工管理技士・管工事施工管理技士など)
- 特定の技術検定の二級第一次検定または第二次検定合格後5年以上、一級第一次検定または第二次検定合格後3年以上の実務経験を有する者(ただし、一部の指定建設業種を除く土木工事・建築工事・電気工事業・管工事業・鋼構造物工事業・舗装工事業・造園工事業・電気通信工事業は国家資格者の技術者を営業所に置かなければならないためです。)。
- 登録基幹技能者講習を修了した者で、当該建設業に係る建設工事に関し10年以上実務経験を有する者。
4. 国土交通大臣が認定した者
同等以上の知識及び技術または技能を有すると国土交通大臣が認定した者も認められます。
一般建設業許可どの業種になるのかな?29業種詳しく確認したい方はこちらをご確認ください。👇

特定建設業における「特定営業所技術者」の要件
特定建設業の建設業許可を取得する場合、各営業所に配置する「特定営業所技術者」は、以下のいずれかの資格または実務経験を満たす必要があります。特定建設業は、元請として下請契約の総額が5,000万円以上(建築一式工事は8,000万円以上)になる工事を請け負う場合に必要となる許可であり、より高度な技術力と管理能力が求められます。
特に、土木、建築、電気、管、鋼構造物、舗装、造園の7業種である「指定建設業」の許可を受けようとする場合は、一定の1級国家資格等に該当する者、または国土交通大臣が一定の1級国家資格等と同等以上の能力を有すると認定した者でなければなりません。
1. 国家資格等による要件(特定建設業用)
- 許可を受けようとする建設業種に応じた特定の国家資格(例:1級など)を保有している者。具体的な資格は、大阪府の「第6章参考資料3営業所技術者等資格要件一覧表別表1」の第2欄に記載されています。
2. 一般建設業の技術者要件+指導監督的実務経験
- 一般建設業の営業所技術者のいずれかの要件を満たす者のうち、許可を受けようとする建設業に係る建設工事に関し、2年以上の「一定の指導監督的な実務の経験」を有する者。
- 特定の技術検定の二級第一次検定または第二次検定合格後5年以上、一級第一次検定または第二次検定合格後3年以上の実務経験を有する者のうち、許可を受けようとする建設業に係る建設工事に関し、2年以上の「一定の指導監督的な実務の経験」を有する者(ただし、指定建設業および電気通信建設業を除く)。
- 登録基幹技能者講習を修了した者で、当該建設業に係る建設工事に関し10年以上実務経験を有する者のうち、許可を受けようとする建設業に係る建設工事に関し、2年以上の「一定の指導監督的な実務の経験」を有する者。
「一定の指導監督的な実務の経験」とは、発注者から直接請け負った請負代金4,500万円以上(昭和59年10月1日以前は1,500万円、平成6年12月28日以前は3,000万円)の建設工事に関する、設計または施工の全般を工事現場主任者や工事現場監督者のような立場で技術面を総合的に指導監督した経験を指します。発注者の側での経験や、下請負人としての経験は含まれません。
3. 国土交通大臣が認定した者
上記ケに掲げる者と同等以上の能力を有すると国土交通大臣が認定した者も認められます。これには、特定の職業能力開発促進法による技術検定合格者で、一定の考査に合格し、国土交通大臣が認めた者などが含まれます。
営業所技術者等に関する必要書類
営業所技術者等の資格や実務経験を証明するためには、以下の書類の提出が必要です。これらの書類は、実務経験の期間や内容、資格の有効性、そして常勤性が客観的に証明できるものでなければなりません。
1. 実務経験を証明する書類
実務経験証明書(様式第9号)や指導監督的実務経験証明書(様式第10号)の記載内容を確認できる書類を提出します。
- 工事の実績確認書類:
- 請負契約書、注文書、請求書、領収書、工事台帳、工事請負台帳、工事経歴書(様式第2号)、工事写真(着工前・施工中・完成)など、工事の実績を証明できる書類。
- 法令上求められる経験期間について、各年の代表的な工事を記載し、その間に1年以上の間隔が生じないように、他の工事の実績も確認できるよう準備してください。
- 過去に営業所技術者等として証明されている場合:
- 建設業許可申請書の一部(受付印のある表紙および実務経験証明書(様式第9号))
- 変更届の一部(受付印のある表紙若しくは完了通知のはがきおよび実務経験証明書(様式第9号))
- 過去に建設業の許可を受けていた(現在も含む)建設業者において実務経験で営業所技術者等として証明されていない者の場合:
- 上記と同様の建設業許可申請書や変更届の一部、または決算変更届の一部(受付印のある表紙若しくは完了通知のはがきおよび実務経験年数の証明期間に相当する工事経歴書(様式第2号))
【実務経験に関する特例】
- 解体工事業に関する経過措置:平成28年6月1日より前に「とび・土工工事業」の技術者要件を満たしていた方は、令和3年6月30日までは「解体工事業」の技術者とみなされていましたが、現在は経過措置期間が終了しています。新たに解体の許可を取得する場合や技術者を変更する場合は、現行の要件を満たす必要があります。
- とび・土工工事業と解体工事業の経験年数:平成28年5月31日までのとび・土工工事業許可で請け負った解体工事の実務経験は、とび・土工工事業と解体工事業の両方の実務経験として二重に計算できます。
2. 有効な資格を証明する書類
- 資格者証または免状の写し
- 有効期間の確認:資格によっては有効期間が定められているものや、写真の書き換え、氏名変更などの規定があるため、最新の有効な資格を提出します。
3. 在籍確認書類
実務経験・指導監督的実務経験証明書に記載された経験期間の在籍が確認できる以下のいずれかの書類が必要です。ただし、証明者と申請者が同一の場合や、過去に建設業者から証明を受けている場合は原則不要です。
- (年金の)被保険者記録照会回答票
- 雇用保険被保険者証(申請時点において継続して雇用されている場合)
- 雇用保険被保険者離職票(申請時点において離職している場合)
- 証明者が個人事業主の場合は、所得税の確定申告書のうち、税務署の受付印(令和7年以降の申告分は不要)のある第一表+専従者給与欄または給与支払者欄に内訳・氏名の記載がある書類。
- 税務署の受付印または税務署の受信通知(電子申告の場合)を必ず確認します。
- 第一表に税務署の受付印はないが第二表に税理士等の記名捺印がある場合は第二表も必要。
- 証明者の印鑑証明書(3か月以内のもの)
建設業許可取得は、適切な技術者の配置から!
建設業許可における「営業所技術者等」の要件は、専門的な資格や長年の実務経験が求められるため、その確認と書類準備は非常に複雑です。
「うちの会社には、どの資格や経験を持つ人材が必要なのだろう?」 「実務経験の証明書類が揃うか不安…」 「費用を抑えつつ、スムーズに建設業許可を取得したい」
このようなお悩みをお持ちの事業者様は、ぜひ一度、建設業許可専門の行政書士にご相談ください。私たちは、大阪府の最新の手引きに基づき、あなたの会社の状況を丁寧にヒアリングし、最適な営業所技術者等の配置から、必要な書類の準備、そしてスムーズな建設業許可取得まで、一貫してサポートいたします。
無料相談も承っておりますので、建設業許可に関するご質問や、営業所技術者等の要件に関するご不明な点があれば、お気軽にお問い合わせください。あなたの建設事業のさらなる発展を、私たちが強力にサポートします!
4 建設業許可の財産的要件とは?初心者向けにわかりやすく解説
「建設業許可を取りたいけど、会社の財務状況に自信がない…」
「資本金が少ないけど、許可は取れる?」
建設業許可を検討している方にとって、会社の財産状況が要件を満たしているか不安に感じる方は少なくありません。
建設業許可を取得するには、経営業務の管理責任者や専任技術者など、人的要件を満たすことが必須です。しかし、それと並んで重要なのが、財産的基礎・金銭的信用、通称「財産的要件」です。これは、事業を継続していく上で必要な財産や資金力があることを証明するもので、発注者や下請業者を保護するために設けられています。
この記事では、大阪府が発行する**「建設業許可申請手引き(令和7年3月版)」の内容に基づき、一般建設業と特定建設業**それぞれの財産的要件について、初心者の方にも分かりやすく解説します。
一般建設業と特定建設業で要件が大きく異なる理由
建設業許可には、一般建設業許可と特定建設業許可の2種類があります。
- 一般建設業許可:比較的規模の小さい工事を請け負う場合に必要です。(税込み500万円以上)
- 特定建設業許可:元請として、下請業者に税込み総額5,000万円(建築一式工事の場合は8,000万円)以上の工事を発注する場合に必要です。
特定建設業のほうが、より大規模な工事を扱うため、下請業者への支払い能力や財務状況が厳しくチェックされます。そのため、両者では財産的要件の基準が大きく異なるのです。
この記事では、まず多くの事業者が取得を目指す一般建設業許可の財産的要件から詳しく見ていきましょう。
一般建設業許可の財産的要件
一般建設業の財産的要件は、「請負契約を履行するに足りる財産的基礎又は金銭的信用を有すること」とされています。
具体的には、以下のいずれか1つに該当すれば、この要件を満たすことができます。
- 自己資本の額が500万円以上であること(注意! 資本金ではありません自己資本です。)
- 500万円以上の資金調達能力を証明できること
- 過去5年間、継続して建設業許可を受けて営業した実績があること
この3つのうち、最も一般的なのが1番か2番です。それぞれ詳しく解説します。
1. 直前の決算で「自己資本」が500万円以上ある場合
決算書(貸借対照表)の**「純資産の部」の合計額が500万円以上**であれば、この要件を満たします。
【必要書類】
- 法人:法人税の確定申告書別表一、決算報告書
- 個人事業主:所得税の確定申告書第一表、第二表、青色申告決算書または収支内訳書、貸借対照表
【注意点】
- 税務署の受付印または**受信通知(電子申告の場合)**が必要です。
- 令和7年以降の申告分は、税務署の受付印が不要となる場合があります。
2. 「残高証明書」で500万円以上の資金があることを証明する場合
直前の決算で自己資本が500万円未満であっても、金融機関の預金残高証明書で、500万円以上の資金があることを証明できれば要件を満たします。
これは、会社名義または個人名義の普通預金や定期預金など、すぐに引き出せる現金が500万円以上あれば問題ありません。
【必要書類】
- 金融機関が発行する500万円以上の預金残高証明書
【注意点】
- 残高証明書の残高日が、申請日からさかのぼって4週間(28日)以内のものである必要があります。発行日ではないので注意しましょう。
- 残高証明書は、金融機関に申請すればすぐに発行してもらえます。書類が揃ってから最後に発行してもらうのが良いでしょう。
3. 過去5年間の営業実績がある場合
すでに建設業許可を取得しており、5年以上継続して営業している場合、この要件は自動的に満たされていると見なされます。この場合、特に書類の提出は求められません。
ただし、許可の有効期限が切れてしまった場合(失効)は、この基準は適用されず、改めて1. または 2. の方法で財産的要件を満たす必要があります。
【新規設立の会社・個人事業主の場合】
- 法人の場合:会社設立時の開始貸借対照表で、資本金が500万円以上あれば要件を満たします。
- 個人事業主の場合:開始貸借対照表と、預金残高証明書の提出が必要です。
特定建設業許可の財産的要件
特定建設業許可を取得する場合、財産的要件は一般建設業よりもかなり厳しくなります。これは、下請業者保護のため、より強固な財務体質を求めているからです。
特定建設業の財産的要件は、以下の4つの基準すべてを満たす必要があります。
- 欠損の額が、資本金の額の20%を超えていないこと
- 流動比率が75%以上であること
- 資本金の額が2,000万円以上であること
- 自己資本の額が4,000万円以上であること
これらの要件は、常時満たしている必要はありません。許可申請のタイミングで行われることとなります。許可申請とは、建設業許可の新規申請、更新申請、業種追加申請などです。原則として申請時の直前の決算期における財務諸表で判断されます。そのため決算後1年以内に許可申請がない場合は、事業報告(決算変更届)を持って財産的基礎などの要件が確認されるということはありません。
基準1:欠損の額が資本金の額の20%を超えていないこと
欠損の額とは、簡単に言うと会社の赤字のことです。
- 法人:繰越利益剰余金がマイナスの場合、その額が資本剰余金、利益準備金及び任意積立金のなどの合計額を上回る額
- 個人事業主:事業主損失が、事業主借勘定から事業主貸勘定の控除した額に負債の部に計上されている利益留保性の引当金及び準備金を加えた額を上回る額
この赤字の額が、資本金の20%以内でなければなりません。
基準2:流動比率が75%以上であること
流動比率とは、**「流動資産 ÷ 流動負債 × 100」**で計算される数値です。
流動資産とは、現金や売掛金など、1年以内に現金化できる資産のこと。流動負債は、買掛金など、1年以内に支払わなければならない負債のことです。
この流動比率が75%以上であることが求められます。これは、会社の短期的な支払い能力がどの程度あるかを示す重要な指標です。
3. 資本金の額が2,000万円以上であること
資本金の額が2,000万円以上であることが必要です。
【増資による特例】
申請直前の決算では資本金が2,000万円未満だったとしても、申請日までに増資を行うことで基準を満たすことが可能です。
ただし、この特例は資本金にのみ適用されます。自己資本については、増資では認められず、決算書上の数値で4,000万円以上を満たしている必要があります。
4. 自己資本の額が4,000万円以上であること
自己資本とは、貸借対照表の純資産の部の合計額のことです。
これが4,000万円以上であることが求められます。
【必要書類】
- 法人:法人税の確定申告書別表一、決算報告書
- 個人事業主:所得税の確定申告書第一表、第二表、青色申告決算書、貸借対照表
【注意点】
- 一般建設業と同様に、税務署の受付印または**受信通知(電子申告の場合)**が必要です。
- 新規設立法人の場合は、開始貸借対照表でこれらの要件を満たす必要があります。
- 個人事業主は、特定建設業の場合、開始貸借対照表だけでは要件を満たせないため、1期目の決算を終える必要があります。
まとめ:建設業許可の財産的要件をクリアするために
建設業許可の財産的要件は、一般建設業と特定建設業で求められる水準が大きく異なります。
- 一般建設業:500万円以上の自己資本または資金調達能力を証明できればOK
- 特定建設業:資本金2,000万円、自己資本4,000万円など、厳しい4つの基準すべてを満たす必要がある
特に、特定建設業の許可を目指す場合は、決算書の内容を厳格にチェックされるため、事前の準備が非常に重要です。もし決算内容で要件を満たしていない場合は、増資などの対応を検討する必要があります。
「うちの会社の財務状況で建設業許可は取れる?」
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5 建設業許可の「欠格要件」と「誠実性」とは?初心者向けに徹底解説
「建設業許可を取りたいけど、過去に犯罪歴があるとダメ?」
「役員の中に過去に問題があった人がいるけど、申請はできる?」
建設業許可の申請を検討している方の中には、会社の役員や自分自身の過去の経歴が許可取得に影響しないか不安に感じる方が少なくありません。
建設業許可は、建設工事の適正な施工と、発注者や下請業者を保護することを目的としています。そのため、建設業者としてふさわしくない人物が事業を行うことを防ぐための要件が設けられています。それが、**「欠格要件」と「誠実性」**です。
この記事では、大阪府が発行する**「建設業許可申請手引き(令和7年3月版)」の内容に基づき、欠格要件と誠実性**の2つの要件について、初心者の方にも分かりやすく解説します。
建設業許可の「欠格要件」とは?
欠格要件とは、簡単に言うと「建設業許可を与えられない人や会社の条件」のことです。この要件に一つでも該当すると、建設業許可は取得できません。
欠格要件は、建設業法という法律で定められており、過去の犯罪歴や法律違反、会社の財産状況などが厳しくチェックされます。
欠格要件に該当するケース
大阪府の手引きに記載されている欠格要件は、以下の通りです。
- 破産手続き開始の決定を受けて復権していない者
- 建設業許可を取り消されてから5年が経過していない者
- 禁錮以上の刑、または一定の法令違反による罰金以上の刑を受けてから5年が経過していない者
- 暴力団員、または暴力団員でなくなってから5年が経過していない者
- 心身の故障により、建設業を適正に営むことができない者
- 上記に該当する者が役員・支店長などにいる法人や個人事業主
- 暴力団員等が事業活動を支配している者
これらの項目は、建設業許可の申請を行う個人事業主や、法人の役員(非常勤役員を含む)、そして支店長などの**「一定の使用人」**が対象となります。
【ポイント】
- **「一定の法令」**とは、建設業法だけでなく、建築基準法、労働基準法、都市計画法など、建設業に関わる様々な法律が含まれます。
- 刑の執行猶予期間が満了し、取り消されることなく猶予期間を経過した場合は、欠格要件には該当しません。
欠格要件を証明するための必要書類
欠格要件に該当しないことを証明するためには、申請者全員の以下の書類が必要です。
- 登記されていないことの証明書
- 身分証明書
この2つは、各役員が成年被後見人や被保佐人ではないこと、そして破産者ではないことを証明するための書類です。
【必要書類の取得先】
- 登記されていないことの証明書:法務局で取得します。
- 身分証明書:本籍地の市区町村役場で取得します。
【例外】
心身の故障により建設業を適正に営むことができない者ではないことを証明する場合、上記の書類に加えて医師の診断書が必要になります。この診断書には、契約締結やその履行に必要な認知、判断、意思疎通能力を適切に行える旨が記載されている必要があります。
建設業許可の「誠実性」とは?
誠実性とは、「請負契約に関して、不正または不誠実な行為をするおそれが明らかでないこと」を指します。
これは、建設業法における**「不正な行為」や「不誠実な行為」**を行ったことがある人物は、許可取得が難しいという考え方に基づいています。
誠実性が問われる具体的なケース
**「不正な行為」**とは、詐欺や脅迫、横領など、法律に違反する行為のことです。
**「不誠実な行為」**とは、工事内容や工期、費用負担など、請負契約に違反する行為のことです。
具体的に、過去に以下の処分を受けたことがある場合は、誠実性の要件を満たさないと判断される可能性があります。
- 建築士法、宅地建物取引業法などの法令に違反し、免許等の取消処分を受けてから5年を経過していない者
これらの行為は、建設業の適正な運営を妨げるものであり、発注者や下請業者に大きな損害を与える可能性があります。そのため、許可申請者には誠実さが求められるのです。
【注意すべき人物】
誠実性の要件は、以下の人物に適用されます。
- 個人事業主の場合:本人と、支店長などの「一定の使用人」
- 法人の場合:役員等(非常勤役員、総議決権の5%以上を持つ株主も含む)と、支店長などの「一定の使用人」
まとめ:欠格要件と誠実性の重要性
建設業許可の欠格要件と誠実性は、どちらも建設業の事業運営において、その人物が信頼に足る人物であるかどうかを判断するための重要な基準です。
- 欠格要件:過去の刑罰や破産、暴力団との関係など、法律で厳格に定められた要件
- 誠実性:請負契約における不正・不誠実な行為など、事業活動における信頼性に関わる要件
これらの要件に一つでも該当すると、建設業許可は取得できません。特に、法人の場合は、役員だけでなく、支店長など**「一定の使用人」**の経歴も問われるため、事前の確認が非常に重要です。
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6 建設業許可の「営業所」って何?定義から要件、必要書類まで徹底解説
「建設業許可を取りたいけど、自宅兼事務所でも大丈夫?」
「単なる連絡事務所は営業所として認められる?」
建設業許可を検討している方の多くが、「営業所」の定義や要件について疑問を抱えています。建設業許可には、事業を行うための**「営業所」**を設けていることが必須要件とされています。
この営業所は、ただ建物があれば良いわけではありません。建設業法に定められた厳しい基準をクリアする必要があります。
この記事では、大阪府が発行する**「建設業許可申請手引き(令和7年3月版)」**の内容を基に、建設業許可における営業所の定義から具体的な要件、必要書類まで、初心者の方にも分かりやすく解説します。
建設業許可における「営業所」とは?
建設業許可で言う「営業所」とは、単なる事務作業を行う場所ではありません。建設工事の請負契約に関して、以下の実務を常に行う場所と定義されています。
- 請負契約の見積もり
- 入札
- 請負契約の締結
つまり、建設業の事業活動の中心となる拠点が「営業所」です。
登記上の本店や支店であっても、建設業の業務と全く関係のない場所であれば「営業所」とは認められません。逆に、登記していなくても、上記のような実務を行っている場所は営業所と見なされる可能性があります。
また、単なる連絡事務所は「営業所」には該当しません。しかし、他の営業所に対して契約に関する指導監督を行うなど、建設業の営業に実質的に関与している場合は、営業所として扱われることがあります。
主たる営業所と従たる営業所
建設業許可を取得するには、主たる営業所(例:本社、本店)を必ず設置する必要があります。
主たる営業所以外にも、従たる営業所(例:支社、支店)を設けることも可能です。ただし、従たる営業所を設置する場合は、その一つひとつに支店長や専任技術者を配置しなければなりません。
【知事許可と大臣許可の違い】
建設業許可には、大阪府知事許可と国土交通大臣許可の2種類があります。
- 知事許可:一つの都道府県内のみに営業所を設ける場合
- 大臣許可:複数の都道府県に営業所を設ける場合
もし、大阪府に主たる営業所があり、兵庫県に従たる営業所を設ける場合は、大阪府知事許可ではなく、国土交通大臣許可が必要になります。
建設業許可の「営業所」に必要な5つの要件
大阪府の申請手引きでは、営業所は以下の5つの要件すべてを満たす必要があると定められています。
1. 営業所を常時使用する権限があること
営業所として使用する建物について、申請者が所有または賃貸するなど、常に使用できる権利を持っている必要があります。
【必要書類】
新規申請や許可換え新規申請の場合、「営業所概要書(様式第1号)」に、事務所の使用権利関係を記載します。
- 自己所有の場合:申請者が建物の半分以上を所有している場合
- 賃貸の場合:申請者が賃貸借契約を結んでいる場合
- その他の場合:親族が所有している、賃貸契約書の使用目的が居住用になっている、事務所禁止となっている、申請者と借主がなど、権利関係が明らかでない場合
必要に応じて、不動産登記簿謄本や賃貸借契約書、使用承諾書などの提出を求められることがあります。
賃貸借契約書が「居住用」となっている場合は、賃貸人から「事務所として使用することを承諾する」旨の書面(使用承諾書)が必要となるケースもあるため、事前に確認しておきましょう。
2. 営業所の外観や入口で商号・名称が確認できること
営業所の外観や入口に、会社の看板などを掲げ、会社の名前が外部から確認できるようにしておく必要があります。
【確認方法】
申請時に、営業所の外観や内部の写真の提出を求められることがあります。看板などがしっかり設置されていることを証明できるように準備しておきましょう。
3. 固定電話、事務機器、机などを備えていること
営業所として機能していることを証明するため、業務に必要な設備が整っている必要があります。具体的には、以下のものが挙げられます。
- 固定電話
- 事務機器(パソコン、プリンターなど)
- 机や椅子
- 鍵付きの書庫
これらの設備が備わっていることで、実体のある事務所として認められます。
4. 許可を受けた業者は許可票を掲示すること
建設業許可を取得した後は、**営業所ごとに許可票(建設業の許可票)**を掲げることが法律で義務付けられています。
これは、許可業者である証明になると同時に、発注者や取引先への信頼性を高める役割も果たします。
5. 営業所に支店長・専任技術者等が常勤していること
営業所には、その代表者(支店長など)と、専任技術者が常勤している必要があります。
- 支店等の代表者:申請者から契約締結等に関する権限を委任されている人物
- 専任技術者:その営業所で行う建設工事の技術的な専門知識を持つ人物
これらの人物が、その営業所に常時勤務していることが求められます。
まとめ:営業所要件をクリアするためのチェックリスト
建設業許可の**「営業所要件」**は、単なる所在地確認ではなく、事業の実態を証明する重要な要件です。
申請前に、以下のチェックリストでご自身の営業所が要件を満たしているか確認しましょう。
- ✅ 建設工事の契約業務を行う場所として実態があるか?
- ✅ 営業所を使用する権利(所有権、賃貸借契約など)を証明できるか?
- ✅ 建物の外観に会社の看板を掲げているか?
- ✅ 事務機器や固定電話など、業務に必要な設備が揃っているか?
- ✅ 支店長や専任技術者など、責任者が常勤しているか?
「自宅を事務所にしているけど、要件を満たせる?」
「賃貸契約書が居住用になっているけど、どうすればいい?」
このような疑問や不安をお持ちの方は、ぜひ一度専門家にご相談ください。
当事務所では、お客様の営業所の状況を丁寧にヒアリングし、建設業許可の要件を満たしているか診断いたします。必要書類の準備から申請まで、全面的にサポートさせていただきます。
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7 建設業許可の「常勤性」とは?証明方法から必要書類まで徹底解説
「建設業許可を取りたいけど、専任技術者は他の仕事と兼務できる?」
「経営業務の管理責任者が、会社の近くに住んでいないけど大丈夫?」
建設業許可の要件の中でも、特に判断が難しいのが**「常勤性」**です。
経営業務の管理責任者や専任技術者は、会社の重要な役割を担うため、その営業所に「常勤」していることが法律で定められています。しかし、「常勤」の定義が曖昧で、どのように証明すればよいのか分からないという声を多く聞きます。
この記事では、大阪府が発行する**「建設業許可申請手引き(令和7年3月版)」**の内容を基に、常勤性の具体的な定義から、証明方法、そして必要となる書類まで、初心者の方にも分かりやすく解説します。
建設業許可における「常勤」の定義
建設業許可における「常勤」とは、その営業所に継続的に勤務していることを指します。
具体的には、以下の3つのポイントが重要になります。
- 雇用関係があること:会社との間で雇用契約や役員としての関係が明確であること。
- 勤務場所が営業所であること:原則として、その営業所に出勤して業務を行っていること。
- 他の事業の職務を兼務していないこと:他の会社や事業の役員、従業員として常勤している場合は認められません。
ただし、同一法人内で、同一の場所で勤務する場合に限り、兼務が認められるケースもあります。例えば、宅建業の専任取引士と建設業許可の専任技術者を兼務することは、同一法人の同一営業所内であれば可能です。
常勤性を証明する必要がある「対象者」
常勤性を証明する必要があるのは、以下のいずれかの役割を担う人です。
- 常勤役員等(旧:経営業務の管理責任者)
- 常勤役員等を直接に補佐する者
- 営業所技術者等(旧:専任技術者)
これらの人物は、事業の経営や工事の技術的な部分を管理・監督する立場にあるため、その営業所に常に勤務し、責任を持って業務にあたることが求められるのです。
常勤性を証明するための具体的な書類
常勤性を証明するための書類は、申請者の立場(法人の役員、個人事業主など)によって異なります。
ここでは、代表的なパターンとその必要書類について解説します。
1. 法人の役員または従業員の場合
最も一般的なのは、健康保険証や住民税の通知書で常勤性を証明する方法です。
- 健康保険被保険者証+健康保険被保険者標準報酬決定通知書(直近のもの)または
- 住民税特別徴収税額通知書(特別徴収義務者用)+住民税特別徴収税額通知書(納税義務者用)(直近のもの)
これらの書類は、会社に所属し、給与を支払われていることを公的に証明するものです。
2. 新たに役員に就任、または雇用直後の場合
役員に就任したばかり、あるいは雇用されたばかりで上記の書類がまだ発行されていない場合は、以下の書類を組み合わせて証明します。
- 直近3か月分の賃金台帳+住民税特別徴収切替申請書(市町村の受付印がある控え)まだ発行されていない場合は、以下の書類を組み合わせて証明します。
- 役員報酬に関する役員会議事録
- 雇用契約書
これらの書類で、今後も継続して勤務していくことを証明します。
3. 個人事業主の場合(個人事業の専従者の場合)
個人事業主本人の場合は、住民税課税証明書や確定申告書で常勤性を証明します。
- 住民税課税証明書
- 所得税の確定申告書(税務署の受付印がある第一表)
住民税課税証明書の申請時期によっては、直近の証明書がまだ発行されていない場合があるため、その場合は確定申告書で代替します。
【注意点】
個人事業主の事業専従者の場合は、上記の書類に加えて、確定申告書の事業専従者欄に氏名と金額が記載されている書類が必要です。
常勤性を証明する際の注意点
常勤性を証明する上で、いくつか注意すべき点があります。
住所と勤務地の関係
住民票の住所と実際の居所が異なる場合や、営業所まで通勤に1時間半以上かかる場合、常勤性が疑われることがあります。
【通勤に1時間半以上かかる場合の対策例】
- 居所から営業所までの通勤定期券(6ヶ月以上分)
- 営業所までの通勤経路が記載された交通機関の時刻表
これらの書類を提出することで、遠方であっても、実際に通勤して勤務していることを証明します。
他の会社の役員や従業員との兼務
常勤性とは、その営業所で専らその業務に従事していることを意味します。
そのため、他の会社で役員や常勤の従業員を務めている場合、原則として兼務は認められません。もし兼務している事実が発覚した場合、許可が取り消される可能性もあります。
役員報酬が少ない場合
役員報酬が月額10万円未満であったり、給与が10万円未満で、かつ代表者と生計を一にしている場合、常勤性が疑われることがあります。
この場合、被保険者記録照会回答票や住民税課税証明書、申請者の確定申告書類など、追加の書類を提出して常勤性を証明する必要があります。
まとめ:建設業許可の常勤性要件をクリアするために
建設業許可における**「常勤性」**は、会社の事業運営に深く関わる重要な要件です。
特に、経営業務の管理責任者や専任技術者は、その営業所に常勤していることが厳格にチェックされます。
- ✅ 健康保険証や住民税通知書で証明できるか?
- ✅ 勤務地は営業所で、他の仕事と兼務していないか?
- ✅ 通勤時間や住居地に疑義が生じる可能性はないか?
これらの要件を満たしているか不安な場合は、自己判断せず、専門家にご相談いただくことを強くお勧めします。
当事務所では、お客様の状況を丁寧にヒアリングし、常勤性の要件をクリアできるか診断いたします。複雑な書類の準備から申請まで、全面的にサポートさせていただきます。
無料相談も受け付けておりますので、まずはお気軽にお問い合わせください。